タイトルの通りです。客先常駐とSESは厳密には違うけど同じような感じで話をします。
私はSEをしており、客先常駐の経験もあります。
この記事は
「就活してるけどSEってどうなの」
「SEに内定もらったけど客先常駐っぽくて不安」
「客先常駐になってつらい」
というような人に向けて書いています。
結論から言うと
下流の企業にいるのであればある程度経験を積む為のものと割り切って仕事をしてそのうち転職しましょう。
上流の企業にいるなら嫌なら異動願いだしたり転職したらいいけどそうじゃなければそのままでいいと思う。
私は客先常駐の働き方がどうしても合わず上長には戻せと言っていますが、そもそも客先に出せない人もいるのもあり(コミュニケーションの問題や普段の仕事の態度の問題など様々)、なんだかんだ外に出されることが多いです。
私の会社はそれなりの規模なので本社勤務であったり社外常駐であったり様々ですが、どうしてもコミュニケーションに問題があったりすると客先に出せないです。あと1回常駐させて問題なければたらいまわしに常駐となることも多いです。もちろん基本的に常駐しかないような会社も多々ありますので、「客先常駐可能=コミュ力あり」というわけではないです。
では見てみよう。
客先常駐の問題点
まず客先常駐の場合、原則派遣契約または準委任契約となっているはずです。準委任での仕事を我々はSESと呼んだりしますが、要するに、
「1か月○○万円払うからうちで働いてね!」
という話です。
常駐していると、割と自分の単価を知ったりしますが、
「これだけもらってるのに給料これだけか」
とか
「これだけ仕事しているのにこれだけしか単価払われていないのか」
とか
様々な悲しい事実を知ります。(ちなみに単価を決めるのは本人の能力ではなく所属している会社と年齢だったりします。)
客先常駐をしていて問題点として私が考えるのは、主に収益(コスト)面の問題です。
客先常駐でストレスたまる!とか、技術や力つかない!とかいう話は、正直あまり関係ないです。
ストレスのある職場はどこでもストレスがあります。確かに客先で常にお客さんの目を感じるということもありますが、私の場合は最初に常駐していなかったころにパワハラ系上司に当たったことありますし、常駐した先で割と管理がゆるゆるで昼の時間が適当だったり仕事途中で歯医者に行く人がいたり恵まれた環境もあります。
また、私が初めてPMやったのも客先ですし、最新技術に触れることが出来た時も客先でした。本社勤務のときでもVB6をひたすら直すというような仕事もしたりしてました。なので技術や力が付くかも客先かどうかはあまり関係ありません(コンサルも多くは客先常駐してたりしますからね。)。
収益(コスト)面の問題
収益とざっくり言いましたが、要するに金銭に対する感覚が常駐SEと本社SEでは違うことが多いです。
常駐していると、費用は顧客からもらった単価になります。
基本的に契約はずっと続くことが多いので、ある意味仕事に集中できますが、本社の場合は単価計算ではない場合が多いです。
これは請負か準委任かの違いになるのですが、
常駐(準委任)の場合は先ほども説明した通り、
「1人1か月100万円ね!」
「5人を6カ月契約で入れるから3000万円ね!」
ってな感じです。(実際には3カ月契約が多い気がする)
ただ、請負の場合は、
「この仕事を今年中に3000万円でやってね!」
という感じです。
その金額の中で誰をどう動かすかなどは顧客の指示を受けません。
じゃあ準委任って何が問題なの?って話ですが、もちろんメリットデメリットがあります。
メリットは損益計算がしやすいです。
3カ月後、半年後などもほとんど変わらないことが多いので収益目標なども立てやすいです。
デメリットは仕事を早く終わらせなくなりがちということです。
というか仕事を早く終わらすメリットがない。むしろ時間をかけたほうがいいという逆転現象になります。
もちろん顧客にばれないという前提ですが、同じ仕事を半年かけるのと3カ月かけるのでは、半年かけるほうが利益があがってしまうのです。
もちろん顧客も馬鹿ではないのでそんな簡単にはいきませんが、
「今月やる予定の業務終わったけど報告はまだ8割ってことにしてあとはゆっくり仕事しよう」
みたいなことは平気であります。
また、コスト感覚もなくなります。
常駐して思ったのは、新卒からずっと常駐している人は、リーダーを除くとコスト感覚に乏しいです。(自分の単価も知らない人が結構いてびっくりしました)
なぜかというと、請負で3000万円の中で仕事をするとなると、リーダーも安い人を使うのか高いけど仕事できる人を使うのかとか、残りの期間を考えて仕事をします。それに伴って割と予算の話も下っ端まで展開されることが多いです。
しかし、常駐している人は顧客の予算はありますが、その中で最大限自分たちのお金になるように計算します。しかしそれを考えるのは基本的にリーダーだけであり、リーダーは、下っ端には、
「契約時間(例えば150-170時間)の枠を気にしながら仕事してね」
としか言わなかったりします。
契約時間とは、1か月の平日を20日として1日8時間と計算した時の1か月の作業時間の合計時間のことです。上記の例だと、150時間~170時間働けば契約の100万円となりますが、有給をたくさんとって150時間を下回ったり、業務が忙しくなって170時間を超えた場合は金額調整が入り、100万円から安くなったり高くなったりします。
その調整が面倒なので極力その時間で仕事しろというわけです。
ですので有給もまとめて取得しにくいです(これが個人的に嫌な点)。
また、そんなわけなので仕事が落ち着いている場合、定時で帰って有給とってとしていると時間を割ってしまうのでただ座っているだけで時間を調節するということも平気であります。
時間を超える分にはお金が追加でもらえるのでそこまで言われないことが多いです(悲しい)。
なので、仕事を早くしようとしないですし、コストについても考えることが少なくなります粗利や利益率といった話も知らない人がいたりします。
もう一つの問題として、考えればわかるのですが、SES型の契約では収益を上げるには人を増やすか単価の安い人を使うかのいずれかの選択になります。
とりあえず人を増やせば収益も上がります。また、単価が安い人(若手や派遣さんやBPさん)を連れてくればその分収益も上がります。
しかし、これらは仕事をする上で、「よりよいシステムを作る」「自分の能力を上げる」といった視点とは全く違うものとなります。
人を増やせば管理が大変になりますし、そもそも顧客の予算もあるので簡単に人を増やすということにはなりません。(某日系コンサルではどれだけ人を入れたかが評価軸になるらしいですが、それはどうなんだろう、と個人的には思ってしまう。)
じゃあどうするかというと、高給取りの正社員を外し、派遣やBPさんという単価の安い人と契約をし、その差分で収益を上げるのです。
例えば、発注元から一人100万円で五人の契約を結んでいるとします。
A社の一人当たりの稼働単価を80万円だとした場合、1か月で20万円×5人で100万円の利益となります。
次にA社は下請け会社のB社の社員4人と派遣契約などで結び、B社に対しては一人60万円を支払います。すると、利益ではA社社員利益20万円+B社利益40万円×4人で、180万円の利益となります。
簡単でしょ?
てなわけで収益や規模を拡大しようとすると基本的には人を増やすか派遣、BP比率を上げることが必要となり、良いシステムを作ったり個々人の能力をより伸ばしたり高付加価値のものを提供するというところに意識が向かなくなります。
それはSEとしてはどうなのでしょう、ってところです。
そこでしっかりと自身の能力を伸ばして高付加価値のものや技術を提供し、単価を上げる交渉をしてより自分の給与も上げる。そういったことが出来る人やそういった方針になることは稀です。
もし自分がそのように動ける人間であるならば客先常駐も悪くないかもしれません。
結論
しっかりと自分で考えられてメリットデメリットを把握した上で納得して仕事をするのであれば客先常駐であろうが何であろうが大丈夫かと思います。(そういう人って得てして仕事できるよね。。。)
ただ、客先での働き方ということに少し疑問を感じている人は参考になったのではないかと思います。
もし2次請け、3次請け、またもっと下の企業で仕事をしているのであれば、今のところでは経験と力をつけてより上流の会社に入れるように転職する、というのをお勧めします。
また、1次請けはどうしてもマネージャー職が多くなりますが、必ずしもそうではなく、技術伸ばしたいのであればしっかり技術にも力を入れている会社を選択すれば、Web系やベンチャーでなくても技術を専門とすることもできます。
自分がどうしたいのか、今後何をしていきたいのか、最終的にはどうなっていたいのかといったことを常に考え、行動しましょう。
目標なんて今の状況によっても変わるので半年や毎年のように見直してみてもいいかもしれません。
また、転職エージェントなどはキャリア相談など無料で対応してくれるので、少しもやっとしている場合はまずは相談してみるのもおすすめです。
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